心電図攻略法

はじめに

私は診療放射線技師として病院に勤務しています。病棟のポータブル撮影や透視下での処置のときなどに心電図を見る機会は多いと思いますが、心電図を理解している人は少ないと思います。放射線技師の国家試験で、心電図の問題は一切出ないからです。私も心電図を全く理解できていない一人です。しかし、心カテの業務に従事する機会が増え、心電図を覚える必要が出てきましたので、心電図を学習しながら、記事をまとめていきたいと思います。

正常の心電図

データの見かた・読み方~ちょっと苦手をやっつけろ!~

心電図の波形と正常の心電図

勉強で異常な心電図を見ると同時に、正常な心電図を見たほうが良いと思いましたので、上の図2枚を印刷して、手元に置いています。

3誘導

Ⅰ誘導

★心房~左室を見る。(心房だけじゃないの?)

Ⅱ誘導(心電図波形の基礎)

心電図についてわかりやすく解説より引用1

★心臓全体を見ている。
P:心房の収縮
→洞結節(心臓を動かす発電所)がP波を形成する。
→洞結節から房室結節に電流が流れることで心房収縮する。
→洞不全症候群
QRS:心室の収縮
→Q波の異常(が広くて、深さ(R波の1/4)がある) 急性ではない心筋梗塞を意味する。その他、「右脚ブロック」でも見られる。幅がないけど、深さがQを「スモールQ」と言ったりする。「スモールQ」でも連続性があれば、心筋梗塞を疑う。v字型にストーンと落ちるのQ波の異常ですが、少し上がってから、V字型になるのはQ波の異常の定義に入らない。 



ST:心室の収縮維持
→収縮を維持している状態で他の電流の影響を受けない。「不応期」という。
T:拡張終了
→心臓が収縮した後の放電。心筋梗塞後のT波が上を向きは数か月~数年以内経過していることを意味する。


筋肉は電気を通しやすい。

虚血→冠動脈から遠い心筋(内側)に影響を受ける(障害電流は内側から外側)→ST低下
梗塞→内外側に影響を受ける(障害電流は横に逃げる)→ST上昇

Ⅲ誘導 

★心尖部~右室を見ている。下壁を見ている。
図だけ見ると左室もの先端も見れるような感じだけどな?

胸部誘導

V1

V2

★右室~心室中隔を見ている。
★心室中隔を見ている。(米山)

V3

V4

★前壁を見ている。(米山)

V5

V6

★左室側壁
・回旋枝が短く、右冠動脈が長いとV5、V6の方まで栄養されていることがある。

Ⅲ誘導

増幅単極肢誘導

心電図についてわかりやすく解説より引用

aVR

aVL

aVF

下壁をみている。

心筋梗塞の部位の見極め方

12誘導心電図より心臓を多角的にみることで、虚血や心筋梗塞部位がわかります。そのために、米山喜平先生の言う連続性で見る必要があります。連続性の定義について書く前に以下の写真を見て頂ければ、何となくイメージできると思います。
【心電図】異常Q(Abnormal Q wave)下壁心筋梗塞(myocardial infarction) 循環器内科 ECG 心電図検定対策

メモ

■広汎なST上昇→急性心膜炎,心筋炎,高カリウム血症など
・洞結節→心臓を動かす発電所
・房室結節→電気の中継点
・期外収縮 徐脈性の不整脈との見分け方はなんだろうか。
・左脚ブロック
・右脚ブロック V1のRが高くて、V5,V6のSが深い。
・VT
・VF
・AF
・鏡面像
→虚血部はSTが上昇するのに対して、反対側はST低下すること。鏡面像あれば、「貫壁性虚血」の証明になる。
冠性T波:心筋梗塞後の左右対称の陰性T波。
■不整脈
 ・頻脈性不整脈
 ・徐脈性不整脈
→脈が遅い患者がペースメーカーの適応になる。洞不全症候群であれば、心房をリード線を入れて、心房を興奮させてあげる。房室ブロックであれば、心室に電気を伝えてあげられるようにし心室にリード線を置く。
   ・洞不全症候群 P波なくて、いきなりQRSが来る(補充収集:洞結節じゃないところから補充で脈を打つ。)
   ・完全房室ブロック P波はあるんだけど、完全にQRSが追従してこないもの。運動したりして脈が速くなるとP波の間隔は狭くなるが、補充収縮の間隔は変わらないのが、房室ブロックの典型。
 ・期外収縮(脈が飛ぶ)
■ペースメーカー植え込み後
・術後一か月間はペースメーカーを植え込んだ方の腕を方の高さより上に、体より後ろに回してはいけない。リード線が外れる可能性が高い。1か月が経過しても、極力そのような動きを避け、やむを得ない場合はゆっくり動かす。
逆に傷が落ち着く2、3日程度動かさないように、そのあとは何も気にせず腕を動かしてもいいよという先生がいる。手を動かたぐらいでリード線が抜けるような手術の方が問題。逆に術後にリハビリをしないと50肩のように関節が固まってしまって、肩が上がらなくなることがある。

ペースメーカー

ペースメーカの基本 ペースメーカ交換 ペーシング閾値 センシング域値
リード線
 ・タインドリード
 ・スクリューインリード
閾値:心臓の筋肉を最低出力で刺激できる値。低いほうが電池が長持ちするからより良い。90歳以上のペースメーカー植え込み術などで低い閾値が見つからない場合は、手術時間などを考慮して、多少閾値が高くてもスピード重視で手術しているような感じがある。
感度(センシング)P波 QRS波が拾えているかを見ている。

参考サイト

心電図についてわかりやすく解説スライド)*多数引用させて頂いています。
Dr. Kihei Yoneyama心臓のお医者さん *多数動画を拝見し、引用させて頂いてます。
心電図クイズ | 持田製薬株式会社
心電図のレッドゾーン“ST 上昇”(その6)もしすべての誘導でST が上がっていたら(後編)(香坂俊)
モーニングセミナー(2013/10/24)~虚血性心疾患と心電図変化~
12誘導心電図の捉え方
【心電図】急性心筋梗塞 第2部 (acute myocardial infarction)  急性冠症候群(acute coronary syndrome) ECG 心電図検定対策 読み方

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